最近の排水基準等の動向について

H27.1.31最終更新

◆ノニルフェノール等
ノニルフェノールは、殺菌剤、防カビ剤として用いられるほか、主に工業用の界面活性剤として使用されているノニルフェノールポリエトキシレートが生物分解を受けて生成する化学物質として知られている。
ノニルフェノールの環境基準は、中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準専門委員会において水生生物保全に係る水質目標値について検討され、平成24年8月に環境基準が設定された。
また、平成24年度末より環境省において排水基準値の検討が開始されている。ノニルフェノールについては、環境中でノニルフェノールエトキシレートの生物分解により生成するものであることから、排水基準値の検討においては、排水中での挙動を含め議論されている。下水道法に基づく下水道の受け入れ規制は、別途検討中である。

関連:
中央環境審議会水環境部会(第29回 H24.3.7)  資料2-1PDF
中央環境審議会水環境部会 水生生物保全環境基準専門委員会(第3回 H23.9.30)
中央環境審議会水環境部会 水生生物保全環境基準専門委員会(第7回 H24.10.5)

 

◆直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩(LAS)
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩(LAS)は主に家庭用洗剤などの界面活性剤として使用されている。
中央環境審議会より平成24年12月に「水生生物の保全に係る水質環境基準の項目追加等について(第2次答申)」が出され、LASについて平成25年3月に環境基準が設定された。
平成25年度以降に環境省において排水基準の検討がなされることから、国土交通省では、下水道における受け入れ規制等の対応について検討を行っている。
また、国土交通省では排水基準等への対応のため、都道府県市町村に対して、平成25年6月にLAS等の濃度測定に係る全国調査の依頼があった。この調査結果を受け、下水道における対応について検討を行っている。

関連:
中央環境審議会水環境部会(第30回 H24.12.27)  資料2-2PDF
中央環境審議会水環境部会 水生生物保全環境基準専門委員会(第6回 H24.8.10)

 

◆カドミウム
カドミウムは公共用水域の水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準として設定されており、平成23年10月にその基準値が0.01mg/lから0.003mg/lに改定されたところである。これを受けて、平成26年11月、水質汚濁防止法施行規則等の一部を改正する省令において、排水基準を定める省令に基づくカドミウム及びその化合物に係る排水基準が現行の0.1mg/L以下から0.03mg/L以下に改定され、同年12月1日より施行された。
カドミウム及びその化合物は、下水道の終末処理場では処理することが困難な物質であることから、平成26年11月に、特定事業場から下水道に排除される下水の排水基準を0.1mg/L以下から0.03mg/L以下に改正する政令(平成26年政令第364号)を公布し、同年12月1日より施行している。

関連:
中央環境審議会水環境部会 排水規制等専門委員会(第13回 H25.11.11)
中央環境審議会水環境部会 排水規制等専門委員会(第14回 H25.12.24)
中央環境審議会水環境部会 排水規制等専門委員会(第15回 H26.1.27)
中央環境審議会水環境部会 排水規制等専門委員会(第16回 H26.3.6)
中央環境審議会水環境部会 排水規制等専門委員会(第17回 H26.5.22)

 

◆トリクロロエチレン
トリクロロエチレンは、衣料のドライクリーニング用及び金属機械部品の脱脂洗浄剤、医薬品、香料、ゴム、塗料、樹脂等の溶剤として使用されてきた。
 トリクロロエチレンについては、新たな毒性が明らかになりWHOにおいて暫定ガイドライン値が設定され、飲料水の直接経口摂取以外の入浴時における吸入ばく露及び経皮ばく露を考慮し、水道法の水質基準も平成23年4月に水質基準値が0.03mg/Lから0.01mg/Lへと強化された。
平成26 年9月、トリクロロエチレンの水質汚濁に係る環境基準値を見直すことが適切である旨、中央環境審議会より環境大臣に対し答申がなされ、平成26 年11 月、水質環境基準値が、0.03mg/Lから0.01mg/Lへと強化された。
さらに、平成26 年12 月、環境大臣より中央環境審議会に対して、トリクロロエチレンの排水基準の見直しに関わる諮問がなされ、現在、環境省において排水基準値の検討が行われている。

関連:
中央環境審議会水環境部会 環境基準健康項目専門委員会(第16回 H25.12.27)
中央環境審議会水環境部会 排水規制等専門委員会(第18回 H26.7.16)
中央環境審議会水環境部会 排水規制等専門委員会(第19回 H26.12.16)
中央環境審議会水環境部会 排水規制等専門委員会(第20回 H27.1.26)

 

◆大腸菌、下層DO、透明度
環境省において生活環境項目の新たな環境基準項目として下層の溶存酸素量(下層DO)および透明度、大腸菌数を導入することが検討されている。
大腸菌に関しては、具体的な基準値案が環境省より示されており、これらの動きに対応するため、放流水中の大腸菌数等のデータの蓄積を行っているところである。

関連:
中央環境審議会水環境部会 生活環境項目環境基準専門委員会(第1回H25.12.3)
中央環境審議会水環境部会 生活環境項目環境基準専門委員会(第2回H26.3.14)
中央環境審議会水環境部会 生活環境項目環境基準専門委員会(第3回H26.6.25)

 

○ほう素・硝酸性窒素等の暫定排水基準値の改定(参考)
ほう素・硝酸性窒素等については下水道業について暫定排水基準値が水質汚濁防止法省令の中で設定されている。この暫定排水基準値は平成25年6月末をもって3年間の期限を迎えることから環境省において改定に向けた検討が行われていた。国土交通省では、実態等を踏まえ、ほう素については現状維持の50mg/l、硝酸性窒素等について170mg/lから150mg/lに改定することで調整を図り、平成25年4月に、環境省よりパブリックコメント手続きがなされ、平成25年6月に省令改正された。

 

○生物応答を用いた排水試験(WET)
H22年度から環境省で生物応答を利用した水環境管理手法に関する検討会が立ち上げられ、制度の導入や運用法を検討する「制度・運用分科会」と試験法を作成する「技術検討分科会」において、それぞれの内容が検討されてきた。技術検討分科会で検討されてきた試験法が概ね確定され、「生物応答を用いた排水試験法(検討案)」として、平成25年3月1日に、国立環境研究所においてセミナー開催とともに公開された。
制度の運用方法、導入時期については、確定されておらず、引き続き、制度運用分科会、検討会で検討が行われる予定である。

 

○その他
上記の他にも、ニッケル、4-t-オクチルフェノールパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びその塩等について環境基準の改定に向けた動きあるので、その検討状況について注視していく。