1.2 建設資材利用量の統計的データの整理

1.2.1 統計データ整理の開始

下水汚泥等の建設資材利用量がデータとして示されるのは、「昭和56年日本の下水道」からであり、昭和54年11月~昭和55年10月までの1年間における下水汚泥等の有効利用量は、329,000m3(現物量)であり、その内焼却灰19,000m3が建設資材として利用されたと記録されている。残りの310,000m3は、肥料等として利用された。

 

1.2.2 建設資材利用の発展

その後、建設資材利用に関する技術開発・実用化が盛んになり建設資材利用量は増加した。「日本の下水道」では、平成6年度以降、下水汚泥の発生量、処分量、有効利用量が濃縮汚泥固形物量ベースで整理されており、日本の下水道事業からの発生汚泥量、下水汚泥の有効利用量及び建設資材利用量を下のグラフに整理した。
平成8年度の下水道法改正により、発生汚泥等の減量化の努力義務規定が追加されたこともあり、有効利用量及び建設資材利用量は、発生汚泥量の増加よりも急激なペースで増加しており、これが下水汚泥リサイクル率の急激な増加につながっている。ただし、平成8年度以降、セメント原料として利用量の増加による影響が非常に大きく、その他の建設資材利用用途の増加は限定的であると推察される。
下水汚泥の建設資材利用の発展と現状_建築資材利用量の推移

1.2.3 各建設資材利用量の変化

国土交通省が実施した下水汚泥有効利用に関する調査結果を利用して、各建設資材利用量の変化についてまとめた。

(1) 下水汚泥発生量とセメント原料としての利用量の推移
下の図に平成13,14,16,18~21年度の下水汚泥発生量、建設資材としての利用量及びセメント原料としての利用量を示した。いずれも濃縮汚泥固形物量ベースで整理している。
下水汚泥発生量は、平成19年度の約225万t/年をピークに減少に転じているが、建設資材としての利用量及びセメント原料としての利用量の推移も同様の傾向を示している。
発生汚泥量とセメント原料としての利用量の推移

なお、平成21年度のセメント原料としての利用量は、約78万DS-t/年であり、発生汚泥量の約38%を占めている。その内、約29%が脱水汚泥の状態でセメント工場に搬出されており、71%が焼却灰の状態で搬出されている。

(2) セメント原料化以外の建設資材利用量の推移
(1)と同様に、セメント原料化以外の建設資材利用用途について、利用量の推移を整理した。平成18年度以降、セメント原料化以外の主な建設資材としての有効利用用途は、埋め戻し材と軽量骨材である。
平成13年度と比較して、平成18年度以降に顕著に増加しているのは、埋め戻し材、軽量骨材、アスファルト合材及び路盤材であり、逆に顕著に減少しているのは、埋立覆土、焼成レンガ、インターロッキングブロック、透水性ブロックである。
建築資材利用の用途別利用量推移1
建築資材利用の用途別利用量推移2

(3) 各建設資材利用において原料となる下水汚泥の形態について
建設資材利用の各用途には、主に焼却灰または溶融スラグの状態で利用されているが、ごく一部に脱水汚泥等の形態で利用されている場合もある。下の図に平成21年度のセメント原料化以外の用途について、有効利用時の下水汚泥等の形態の内訳を整理した。
各建築資材利用形態の利用量内訳
各建築資材利用の実施地方公共団体数の内訳

利用量の多い埋め戻し材や軽量骨材では、実施地方公共団体数が15程度であり、下水汚泥発生量が比較的多い地方公共団体の取り組みが多い。逆に路盤材、コンクリート二次製品、コンクリート骨材においては、利用量が少ないにも係わらず取り組み地方公共団体数が相当数あり、比較的下水汚泥発生量が少ない地方公共団体において実施されていると推定される。

1.2.4 建設資材利用の地方公共団体直営実施及び民間委託の内訳

下水汚泥等の建設資材利用の取り組みにおいて、地方公共団体が、下水汚泥を利用した再生品の最終段階までの製造を行っている場合と、脱水や焼却段階まで地方公共団体で実施し、脱水汚泥や焼却灰等をごみ収集・処理を担当する他部局や民間企業に処分委託している場合がある。なお、地方公共団体とは、地方自治体、流域下水道組合及び地方公共団体の監理団体である下水道公社等を示す。
セメント原料化については、セメント会社により脱水汚泥や焼却灰が回収されていることから、すべてが民間企業への処分委託に該当する。一方、セメント原料化以外の建設資材利用を行っている地方公共団体数は、平成21年度で112あり、その内、最終製品まで直営で製造している地方公共団体数は、20である。最終製品まで製造している地方公共団体の内、16団体が、溶融炉を保有しており、焼却灰から埋め戻し材等の最終製品を製造しているのは、4団体である。さらに、比較的規模の小さな地方公共団体においては、脱水汚泥等をごみ処理工場に搬出し、そこで製造された溶融スラグ等が、建設資材として利用されており、該当する地方公共団体数は、16団体に上る。
また、セメント原料化以外の取り組みにおいて、地方公共団体直営(ごみ収集・処理を担当する他部局への搬出を除く)における取り扱い量は、20団体の合計で約24万DS-t/年であるが、民間委託分は、76団体で約19万DS-t/年となっており、下水汚泥発生量の多い地方公共団体において、直営で建設資材化事業を実施している傾向が強い。ただし、総合的には、セメント原料化も含め、民間事業者の取り組みに負うところが大きい。

建設資材利用の地方公共団体直営及び民間委託状況(平成21年度)
地方公共団体数 有効利用量(濃縮汚泥固形物量ベース)(DS-t/年)
直営 溶融スラグ製造 16 148,371
埋め戻し材、土質改良材、粒度調整灰製造 4 89,189
他部局へ搬出 16 14,105
民間委託(セメント原料以外) 76 191,432
民間委託(セメント原料) 649 776,833
建設資材有効利用合計 1,219,930
下水汚泥等の溶融処理実施団体の内訳
地方公共団体数 受入量(DS-t/年)
地方公共団体が保有する溶融炉における処理 16 148,371
地方公共団体のごみ清掃工場が保有する溶融炉における処理 12 12,056
民間企業による溶融処理 17,902
合計 178,329