第51回 下水道研究発表会 開催報告

①開催概要

平成26年7月22日(火)~24日(木)に、大阪アカデミアにて、「第51回下水道研究発表会」を開催しました。今年は、口頭発表セッション342編、ポスター発表セッション16編の計358編の発表があり、総聴講者数は1,762名でした(特別講演、パネルディスカッション等を含む)。

②口頭発表セッション

口頭発表セッションは、342編の発表があり、その内訳は「特定課題セッション」として8セッション・96編、「通常セッション」として12セッション・246編でした。
聴講者数の多かった上位セッションは、以下の表の通りでした。水処理技術(高度処理施設における消化脱窒処理技術)のセッションや、アセットマネジメントに関する取り組みに関するセッションに、注目が集まっていました。また、汚泥処理技術の最新の取り組みや事例紹介についても多くの関心が集まりました。
各発表者の当日のプレゼンテーション技術等について、担当座長による審査を得ましたので、本会設置の下水道研究発表会企画運営委員会(委員長:東京大学大学院工学系研究科 花木啓祐教授)の委員による論文の内容に関する審査結果と併せて、優秀者に対する表彰を後日行う予定です。

表 聴講者の多かった口頭発表セッション
  セッション名 入場者数
1 N-9-6 水処理技術(6) 104名
2 S-1-2 アセットマネジメント(2) 100名
3 N-10-2 汚泥処理技術(2) 93名
4 S-1-1 アセットマネジメント(1) 90名
4 N-10-3 汚泥処理技術(3) 90名


口頭発表の様子


発表後には参加者からの質問も

③ポスター発表セッション

ポスター発表セッションは、16編の発表がありました。その中から下水道研究発表会企画運営委員会の委員と第2日目(7月23日)に来場された口頭発表セッションの各座長の審査を得た後、厳格なる審議の結果、最優秀賞1編、優秀賞1編、佳作2編が表の通り選出されました。

表 第51回下水道研究発表会 ポスター発表セッション 審査結果
発表題名 所属 受賞者氏名
最優秀賞 管路内での間欠接触酸化による
下水処理特性の評価
東京大学大学院 佐藤 弘泰 氏
優秀賞 最終沈澱池における脱窒現象 及び
SRTとりん除去性能に関する
自治体共同調査
横須賀市 中村 明 氏
佳作 下水道情報ライブラリー
「下水道の森」の設置と運営
(公財)東京都
都市づくり公社
白井 史朗 氏
酸素制御を利用した部分的亜硝酸化の実現と維持 東北大学 劉 媛 氏

☆発表題名をクリックすると、各ポスターの写真がご覧になれます。
また、ポスター発表セッションの表彰式を、7月24日の11時45分~12時に、3F 305号室(ポスター発表会場)で行い、花木委員長から各受賞者へ表彰状が授与されました。


ポスター発表の様子


右は最優秀賞を受賞した東京大学大学院の佐藤氏、
左は花木委員長

④特別講演

7月22日の11時~12時に、2Fグランドホールにて、大阪大学名誉教授の藤田正憲氏による特別講演が行われました。
テーマは、「世界の先端をゆく下水道~関西からの発信」で、来場者は224名でした。日本再興戦略の視点から見た下水道の課題として、脱温暖化、リノベーション、効率・経済性・柔軟性を挙げ、それぞれの課題に対する関西の取り組みの報告をいただき、海外展開へ向けた産官学の更なる連携を行い、技術の先進性を示していく必要があることをご講演頂きました。


藤田氏による特別講演

⑤パネルディスカッション

7月22日の13時30分~15時30分に、同じく2Fグランドホールにて「今後の集中豪雨にどう備えるのか-浸水対策の最前線-」というテーマで、パネルディスカッションが行われました。来場者は100名で、昨今の集中豪雨が頻発している情勢を踏まえ、国や自治体等の立場からハード・ソフト両面についての対策方法等について、また、日本気象協会より降雨予測技術の現状や今後の可能性等について発表が行われ、コーディネーターの関根先生からは、都市浸水の数値予測技術等についての情報提供を頂き、総括として、「下水道部局と河川部局の更なる連携」、「既存ストックの評価と活用」、「雨水貯留の促進と効果の実証の必要性」、「防災・減災教育の必要性」のまとめが行われました。
コーディネーター・パネリストは、以下の表の通りです。

表 パネルディスカッションのコーディネーターとパネリスト
  所属 氏名
コーディネーター 早稲田大学理工学術院教授 関根 正人 氏
パネリスト 国土交通省水管理・国土保全局下水道部
流域管理官付課長補佐
山縣 弘樹 氏
国土技術政策総合研究所
下水道研究部下水道研究室長
小川 文章 氏
金沢市土木局内水整備課課長補佐 荒木 外代夫 氏
大阪市建設局下水道河川部事業計画担当課長 上塚 哲彦 氏
日本気象協会関西支社副支店長 櫻井 康博 氏


コーディネーターとパネリストの皆さん
(右から関根氏、山縣氏、櫻井氏、上塚氏、荒木氏、小川氏)

⑥交流会

7月23日の17時30分~19時に、5F508ホールにて、交流会を開催しました。この交流会は、下水道の技術や経営等に関して自由に意見交換等を行っていただくことを目的として、発表者、聴講者、座長、下水道研究発表会企画運営委員会委員等、下水道に関わる業務・研究に携わる全ての方々を対象に行ったものです。参加者は37名で、研究機関、地方公共団体、民間企業といった幅広い関係者の方にご参加頂き、貴重な意見交換の場となりました。


意見交換の場となった交流会の様子

⑦おわりに

今回は、8年ぶりの大阪開催となり、関西近郊の関連団体からより多くの発表、参加申込みを頂き、充実した発表会となりました。また、1日券の参加区分を設けたこともあり、聴講者数が過去最大(1,762名)でした。また、発表形態につきましては今回から、セッション開始前に発表者が座長と簡単な打ち合わせを行う事など、新たな取り組みを行っております。次年度以降もますますの活性化を進めるべく運営に務めて参ります。
最後になりますが、第51回下水道研究発表会にご参加された皆様、並びに本研究発表会にご協力いただいた関係者の皆様方に厚く御礼申し上げます。次回の「第52回下水道研究発表会」は、平成27年7月下旬に、東京都にて開催いたします。来年度のご参加もお待ちしております。

下水道研究発表会審査結果報告

開催報告